大宮駅 (埼玉県)
大宮駅(おおみやえき)は、埼玉県さいたま市大宮区錦町にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)・東武鉄道・埼玉新都市交通の駅である。
日本鉄道によって、1883年に東京から北へ向かう初の鉄道である上野 - 熊谷間の路線が開業した時、県庁所在地である浦和駅の次の駅は上尾駅であって、大宮に駅は設けられなかった。氷川神社のお膝元として古より栄えた町にも拘らず、大宮宿は明治維新以 後衰退して、鉄道開業当時は243戸の家しかなく、駅を大宮に作るとすると、当時としては駅間の距離が短くなってしまうことが原因である。当時の機関車は 牽引力が低かったため、短い間隔での駅設置はしないことが基本となっていた。しかし、白井助七(後に大宮町長)ら地元有志は町のこれ以上の衰退を危惧し て、駅の敷地のために土地を提供すると提示して、駅の誘致運動を始めた。白井の尽力を記念して、さいたま市民会館おおみやに隣接する児童公園・山丸公園に は白井を顕彰する記念碑と蒸気機関車C12 29号機が置かれ、大宮ソニックシティ前の鐘塚公園には白井の胸像が設置されている。
上野駅から青森駅へ向かう現在の東北本線を建設する際に、高崎駅・前橋駅へ向かう路線のどこから分岐させるかが問題になった。浦和・大宮・熊谷の3案があった。熊谷案は当時最大の輸出品目である繊維産業の中心地である桐生・足利を経由するなどといった理由で具体的検討がなされた。浦和分岐案は、経由する岩槻の住民が鉄道忌避を起こした。アメリカ人技師のクロフォードは宇都宮への最短経路となる大宮経由で建設すべしといった意見を出した。最終的には井上勝の決断によって大宮はその起点となる地として、駅が設けられることになった。
1894年には北に隣接して大宮工場(現:大宮総合車両センター・大宮車両所) が、白井が提供した土地を基に設けられ、さらには日本の重要幹線の分岐駅という交通の要衝で、駅を中心にして大宮は「鉄道の町」として栄えるようになっ た。当時は近隣住民の長男は家業の農業を継ぎ、次男以下が大宮工場に勤務するのが珍しくなく、大宮の住民生活は地域内でほぼ完結していた。一方、浦和住民 は昔から東京への通勤が多く、周辺との交流が乏しかったことが大宮・浦和の不仲の遠因となっている。また、後年には鉄道出身者から大宮市議会議員を何人も 輩出しており、大宮と鉄道は密接に関係している。
1906年には、川越馬車鉄道が改称した川越電気鉄道が川越久保町 - 大宮間の路面電車線(電気鉄道)を開業させる。これは後に西武鉄道へ合併されて同社の大宮線となるものの、川越線の開業で打撃を受け、1940年に休止、翌1941年に廃止された。
概要
JRでは、新幹線・在来線ともに東北地方と信越地方を結ぶ路線の分岐点に位置する。東武鉄道や埼玉新都市交通の路線を合わせると14の路線が乗り入れる日本有数のターミナル駅である。さいたま市の合併前は、JTB時刻表の巻頭索引地図において旧・大宮市の中心駅として表記されていた。 当駅周辺にはJR東日本大宮総合車両センター・日本貨物鉄道(JR貨物)大宮車両所(旧・大宮工場)をはじめとして、日本国有鉄道(国鉄)時代から数多くの鉄道施設が立地し、駅周辺は「鉄道の町」として発展した。1980年代以降は大規模な百貨店やオフィスビルが建ち並び賑わいを見せている。乗り入れ路線
JR東日本の新幹線・在来線各線と、東武鉄道の野田線、埼玉新都市交通の伊奈線(愛称:ニューシャトル)が乗り入れており、接続駅となっている。野田線・伊奈線はともに当駅が起点である。 JR東日本の駅に乗り入れている路線は、線路名称上は、新幹線が東北新幹線と上越新幹線、在来線が東北本線・高崎線・川越線であり、東北本線を当駅の所属線としている(詳細は路線記事および「鉄道路線の名称」を参照)。東北本線に関しては本線のほか、武蔵浦和駅経由の別線(埼京線の線路)が分岐している。上越新幹線・高崎線・川越線は当駅を起点としている。 新幹線の運転系統としては、上述の2新幹線のほかに山形新幹線、秋田新幹線の列車が東北新幹線経由で、北陸新幹線(長野新幹線)の列車が上越新幹線経由で乗り入れている。これらの新幹線はすべて当駅以南で東北新幹線上野駅・東京駅方面へ乗り入れる。 在来線の運転系統は以下のように多岐にわたっている。- 京浜東北線 : 東北本線の電車線を走行する近距離電車。当駅を運転系統の起点/終点とし、東京駅以南で東海道本線へ乗り入れている。
- 宇都宮線(東北線) : 東北本線の列車線を走行する中距離列車。上野駅発着列車と、新宿駅経由で横須賀線に直通する湘南新宿ラインが存在する。後者は当駅以南で東北貨物線を走行し、さいたま新都心駅を通過する。
- 高崎線 : 線路名称上では当駅が起点であるが、当駅以南で東北本線の列車線(宇都宮線)に乗り入れる中距離列車。上野駅発着列車と、新宿駅経由で東海道線に直通する湘南新宿ラインが存在する。当駅以南は上野駅発着・湘南新宿ライン共に宇都宮線と同じ走行線路となる。
- 武蔵野線(むさしの号・しもうさ号) : 当駅から与野駅まで東北貨物線を経由し、同駅から武蔵野線支線に入り、同駅は通過する。公式サイトなどの時刻表では、当駅のみ湘南新宿ラインの列車として扱われる。
- 埼京線・川越線 : 地下ホームに発着する。武蔵浦和駅方面の東北本線別線を走行する埼京線と、当駅を起点とする川越線の間で直通運転をしている。
歴史
駅付近空中写真(1974年撮影 国土画像情報オルソ化空中写真(国土交通省)より)
- 路線跡はDOMビルとJACK大宮の間を通り、その先のホテル・マロウドイン大宮に至る区間が道路として残っている。そこから先は現在の国道17号(中山道)桜木町交差点まで直線で線路が敷設されていたが、一部を除き線路跡が路地として残っている。同交差点の付近に当駅から出て最初の駅である大成駅があった。かつて大成駅を名乗っていた埼玉新都市交通伊奈線の鉄道博物館(大成)駅とは全く関係ない(西武大宮線の大宮電停に関しては大宮駅 (西武)も参照のこと)。
- 1987年頃、中央改札前の「まめの木」近くに鉄人28号のオブジェが立っていたこともあるが、駅ビル「We」(現・ルミネ大宮2)のキャンペーン用として製作されたもので、展示期間終了後に廃棄される予定だった。しかし、その出来の良さから譲渡を求める声が多く寄せられ、最終的に大宮市に存在していた埼玉工業専門学校(現・埼玉自動車大学校)に譲渡され、同校が伊奈町に移転した現在でも校内敷地の道路に面した位置に展示されている。
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